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千葉 豪
JAEA-Conf 2009-004, p.107 - 110, 2009/10
核分裂スペクトルはENDF形式の核データファイルにおいては行列形式で与えられるが、多くの決定論的中性子輸送計算コードではベクトルとして取り扱われる。本研究では、核分裂スペクトル行列を中性子輸送計算で直接取り扱い、従来のベクトルで取り扱う方法の誤差を定量的に評価した。裸炉心,反射体付き炉心,熱中性子溶液系を対象に計算を行い、計算体系の中性子束と、ベクトル形式の核分裂スペクトルを作成する際に用いる重み関数との間に非整合がある場合に、0.2%dk/kk'程度の誤差が生じることを示した。また、適切な重み関数を用いてベクトル形式の核分裂スペクトルを生成すれば、ベクトル形式のものを用いることによる誤差は無視できることを示した。
千葉 豪
JAEA-Conf 2009-004, p.101 - 106, 2009/10
固有値間隔は原子炉炉心の安定性の指標と考えられており、それを用いることでより合理的な炉心設計が可能となるとされている。本研究では、中型、及び大型の高速炉心を対象として固有値間隔に対する核データ起因誤差を計算した。結果は1.0%以下となり、固有値間隔に対する核データ起因誤差は無視できることを示した。
小浦 寛之; 橘 孝博*; 千葉 敏
JAEA-Conf 2009-004, p.135 - 140, 2009/10
われわれのグループでは、巨視的模型+平均場理論計算をもとにした、KTUY(小浦-橘-宇野-山田)原子核質量模 型と呼ばれる手法を開発してきた。実験質量値に対する誤差は0.67MeV、また分離エネルギーに対しては0.4MeVと、他の同程度の模型と比べても優れた精度を与えている。また、中性子過剰軽核における核構造変化を予言し、=20(又は=14から16(実験実証済み)、=28から32(又は34)、=50から58への閉殻変化を予想している。この模型を用いて原子核の崩壊様式について、極めて大域的な核種領域に渡り計算を行い、そのデータを整備した。これにより、任意の核種の崩壊,崩壊,自発核分裂,陽子放出の部分半減期理論値を提示することが可能となった。与えた有限寿命に対する核種数は、1秒以上で4,000核種,1ミリ以上で8,000核種,1マイクロ秒以上で10,000核種,1ナノ秒以上で11,000核種程度という結果を得た。
千葉 豪; 奥村 啓介
JAEA-Conf 2009-004, p.21 - 26, 2009/10
JENDL-4のプリリミナリ版を用いて、熱・高速中性子系に対する積分テストを実施した。JENDL-4のプリリミナリ版は、両中性子系に対して良好な性能を示した。加えて、Am-241熱中性子捕獲断面積の熱中性子系積分データへの影響を評価し、積分データの観点からは大きいAm-241熱中性子捕獲断面積(第一,第二共鳴を含む)が望ましいことを示した。
橘 孝博*; 小浦 寛之; 千葉 敏
JAEA-Conf 2009-004, p.129 - 134, 2009/10
崩壊遅発中性子放出の確率は崩壊熱計算のために重要なデータとして従来より認識されてきた。加えて最近、r-過程元素合成への崩壊遅延核分裂の効果はかなり興味深い話題となり、各研究機関で検討が進められている。今回、われわれは実験的に知られている核種から遠い領域の原子核の崩壊遅延核分裂及び中性子放出確率の計算の改良を行った。これらの計算の崩壊部分は大局的理論を用いた。この大局的理論は許容遷移(フェルミ遷移及びガモフテラー遷移)だけではなく、第一禁止遷移をも扱うことが可能であり、この理論の大きな利点の一つとなっている。中性子放出及び核分裂の崩壊幅計算に必要な核準位密度については、河野-千葉-小浦による核準位密度公式に、原子核の集団運動効果を取り入れて新たに改良したものを用いた。また、崩壊値,中性子分離エネルギー、及び核分裂障壁の高さについてはKTUY原子核質量模型を用いて求めた。核準位密度計算に必要な殻エネルギーと対相関エネルギーはKTUY模型から与えた。本発表ではr-過程ネットワーク計算にこれらのデータを適用し、r-過程生成量に対する核分裂の効果について検討する予定である。
中島 宏
JAEA-Conf 2009-004, p.39 - 44, 2009/10
大強度陽子加速器施設(J-PARC)は、世界最高強度の高エネルギー陽子加速器施設である。その高エネルギーで、大強度というJ-PARCの特徴から、放射線安全上、多くの解決すべき課題がある。その課題を解決するために、実験データに基づく精度検証を行いながら、さまざまな放射線遮蔽設計法が開発された。そこで、本稿ではJ-PARCの放射線安全のために行われた遮蔽設計法の開発について総括する。